MENU
Topics
トピックス
2010.12.15
・便秘 ・ 下痢のときの食事

便秘・下痢のときの食事

■ 便秘とは

 排便の習慣は個人差が大きいため、どの程度で「便秘」となるかは明確には決まっていません。一般的には数日以上排便がなく腹部膨満感や腹痛など、日常生活に支障がある場合をいいます。

○便秘のタイプと原因
①弛緩性便秘
 腸の周りの筋肉が緩み、腸の動きが弱くなって、便の押し出しが悪くなった状態です。
②痙攣性便秘
 自律性神経の乱れなどにより、腸管自体の収縮が強くなって便が出にくくなった状態です。コロコロとした固い便になります。

○放っておくと・・・
 たかが便秘、されど便秘。放置していると、腸内で有害物質が発生し、肌荒れや頭痛、大腸がんを引き起こすとみられています。また、肛門に負担がかかり、痔になりやすくなります。

 その他、便意を我慢することが習慣になって起こる便秘、腸が狭くなって起こる便秘、妊娠や腹部の腫瘍などで腸が圧迫されて起こる便秘などがあります。


■下痢とは

 便秘と同様、どの程度で「下痢」となるか明確に決まっていませんが、通常は便の水分が増加した状態をいいます。多くの場合、腹痛を伴い、排便量・排便回数が増えます。

○下痢のタイプと原因
 急性の下痢は一般的に、食中毒やウイルス感染、暴飲暴食やストレスによる消化不良などが原因です。
 慢性の下痢は、消化管の疾患や寄生虫、薬物の影響など、実にさまざまな原因で起こります。
 下痢が続く場合は病院で診てもらいましょう。



■治療の方法は

 いずれも、原因となる疾患がある場合はその治療を優先します。そして、

 便秘・・・生活改善と食事による治療を行います。

 下痢・・・下痢に伴う脱水や栄養障害に対する治療を行います。


便秘!腸の調子を整える食事をしましょう

 原因となる大きな病気がないことが分かったら、便秘のタイプに合わせた食生活で解消しましょう。

■ポイント1

 規則正しく食べよう。
 まず毎日の食事から。朝食はとっていますか?お菓子や、ちょっとつまむものだけで済ませたりせず、3食きちんと食べるようにしましょう。

■ポイント2

 水分を十分取りましょう。
 水分を十分に取ると便の量が増え、排便がスムーズになります。お茶やお水の他に、食事の中にもスープや汁気の多いおかずを組み込んでみましょう。


■ポイント3

 食物繊維の取り方
 食物繊維は水分を吸収して便の量を増し、排便をスムーズにします。また、水溶性の食物繊維は便をやわらかくし、不溶性の繊維は腸を刺激し排便を促します。そのため、痙攣性の便秘の場合は、不溶性の繊維は刺激になるのでひかえめに。

○食物繊維の分類
 不溶性食物繊維を多く含む食品
 ・ 野菜 ・ 穀類 ・ 豆類・ 小麦ふすま・ 未熟な果物
 ・ ココア・ ごぼう・ きのこ・ 酵母・ えび

  水溶性食物繊維を多く含む食品
 ・ 熟した果物 ・ 植物の種子 ・ 葉 ・ 根・ こんにゃく ・ 海草

■ポイント4

 腸を刺激しやすい食品
 ~弛緩性便秘には積極的に、痙攣性便秘には控えめに~
 食品から発生したガス、食品に含まれる酸、善玉腸内細菌の産生した有機酸などが、腸管を刺激して腸の動きを活発にします。痙攣性の便秘では刺激を避け、便のかさを増やして排便をスムーズにすることが大切です。

 ♪果物 ♪牛乳 ♪乳製品 ♪芋 ♪豆類
 ♪酸味のある食品(酢、梅干しなど) ♪香辛料
 ♪アルコール♪油脂類 ♪炭酸飲料


下痢!まずは水分を確保

そして刺激の少ない食事をしましょう

 急性期で症状がひどい場合は絶食しますが、お湯や薄めのお茶などで水分をこまめに補給しましょう。

■ポイント1

 食物繊維の多いもの、豆・芋類は少なめに。
 腸内でガスを発生し腸管を刺激するので、たくさん食べないようにしましょう。

■ポイント2

 アルコール、香辛料、炭酸飲料、冷たいものなどは控えましょう。
 腸管に刺激を与えるのでできるだけ控えるようにします。

■ポイント3

 アレルギーのある食品は避けましょう。
 食品アレルギーによって下痢がおきている可能性もあります。

■ポイント4

 1回に食べる量を少なくしましょう。
 胃腸への負担を軽くしましょう。

■ポイント5

 油脂の多い食品や料理はひかえましょう。
 油脂類は消化に時間がかかるため、ひかえましょう。

■ポイント6 

 やわらかく料理したものを食べましょう。
 果物は、症状のひどいときなら缶詰を使うとよいでしょう。


 プロバイオティクス と プレバイオティクス
 -probiotics & prebiotics-

 便秘や下痢には腸内環境が関係していますが、腸内環境を整えるために一役買っているのがプロバイオティクス。いわゆる腸内の善玉菌で、ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌の一種、ラクトバチルス菌や、ビフィズス菌などです。最近では免疫機能を高める、アレルギー反応を抑制する、胃の中でピロリ菌を抑える、などの働きをもつ菌種が次々に報告され注目を集めています。
 一方、プレバイオティクスとは、腸内のプロバイオティクスのエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整える助けとなります。大腸で消化しにくいオリゴ糖類や食物繊維などがその代表です。



食事療法Q&A

Q1

 しっかり食物繊維をとるためのコツは?
A
 食物繊維は1日20~25gくらいを目安に取りたいもの。食物繊維の種類は多いのでいろいろな食品から取れると理想的です。不溶性食物繊維を多く含む根菜類(ごぼう、はす、にんじんなど)や芋、豆類のおかずを毎日1回、水溶性の食物繊維を多く含む果物や海藻なども1日に1回以上食べるようにしましょう。果物も料理やデザートに利用するとよいでしょう。

Q2
 腸管に刺激を与えるおかずとは?
A
 主菜には、こしょう、カレー粉、唐辛子、しょうが、にんにくなど香辛料を効かせて調理してみましょう。また、冷たくした野菜や芋のポタージュなども腸管を刺激するのによいでしょう。前日の夜に用意しておけば、翌朝食べるのに便利ですので、不足しがちな野菜も取り易くなります。腸の調子が悪いときはこれらを控えるようにしましょう。

Q3
 おなかがゆるいとき、外食で気を付けることは?
A
 食物繊維が少なく、消化がよい外食は、卵とじうどん、雑炊、リゾット、白身の煮魚定食などです。また、刺激を与えやすい香辛料の効いたお料理は避けます。油の多い天ぷらやフライは消化に時間がかかるので選ばないほうが賢明です。食べる量は回復期に入ったら、徐々に増やしていきましょう。